はじめに

この章では、FastHelp5 におけるメール送受信の仕組み および 必要なマスタ設定について、概要を説明します。

メール送受信関連設定の概要

FastHelp5 で、メールの送受信を行う流れと、必要な権限設定について説明します。

メール受信設定
FastHelp5 がメールサーバからメールを取得するための設定です。受信プロトコルやサーバ名などのほかに、メール受信時に実施する処理 (自動アサイン、親コール継承など) を設定します。
業務グループごとに、1 つまたは複数のメール受信設定を作成します。受信したメールは、業務グループのコールとして登録されます。
[メール管理] - [メール受信設定] または [業務管理] - [業務グループ] の [メール受信設定] タブ で設定します。

受信振分設定
条件に該当するメールについて、業務グループ および 担当者の振り分けを行うための設定です。また、製品 および カテゴリなどの自動設定も行います。
[メール管理] - [受信振分設定] から設定します。

受信除外設定
条件に該当するメールについて、FastHelp5 に登録することなく、メールサーバから削除するための設定です。スパムメール対策などに利用します。
[メール管理] - [受信除外設定]から設定します。

自動返信設定
FastHelp5 でメールを受信した時に、送信元に対して自動でメールを送信し、受信した旨をお知らせすることができます。
[メール管理] - [自動返信設定] から設定します。

SMTP設定
FastHelp5 からメールサーバへメールを送信するための設定です。
[メール管理] - [SMTP設定] から設定します。

メール送信設定
コールから送信メールを作成するための設定です。業務グループごとに、複数の送信設定を作成することができます。
[業務管理] - [業務グループ] の [メール送信設定] タブから設定します。

担当者の権限設定

メールオプションを利用するには、次の権限が必要です。

対象者 必要な権限
管理者 [システムロール] - [メール管理] 下の各権限
担当者 [業務ロール] - [コール管理] - [送信メール操作] 下の各権限
[業務ロール] - [コール管理] - [内部受信操作] 下の各権限
[業務ロール] - [コール管理] - [サイドメニュー] - [送信メール検索権限]
[業務ロール] - [コール管理] - [コール操作] - [メールタイトル/受信本文編集権限]、[受信メール原文ダウンロード権限]

メール受信処理の流れ

FastHelp5 は、メールによる問い合わせを受信し、"コール" としてデータベースに登録します。

FastHelp5 のメール受信処理は、以下の流れで行われます。

業務の流れに合わせて、上記のそれぞれの処理の詳細について、[メール受信設定] [受信除外設定] [受信振分設定] で設定します。

メールサーバからメールを取得する

受信したメールは、"コール" としてデータベースに登録されます。データベースへの登録が完了すると、そのメールはメールサーバから削除されます。
メール内容が [受信除外設定] で設定している条件に合致する場合は、コールとしてデータベースに登録しないで、そのメールをメールサーバから削除します。

メール内容が [受信除外設定] に該当する場合は、コールを FastHelp5 に登録せずに、メールサーバから削除します。

ポイント

担当者のアサイン

メール受信したコールの担当者は、FastHelp5 により自動的に担当者に割り当てられる(= アサイン)される場合と、自動的にアサインされず "未アサイン" 状態となる場合があります。

システムによるアサインは、以下のいずれかの設定により行われます。

  • [受信振分設定] によるアサイン
    [受信振分設定] の内容に従って、担当者を決定する。
  • 親コール継承 によるアサイン
    受信メールの件名に [親コール番号] が含まれる場合に、親コールの担当者を引き継ぎ、担当者を決定する。
    これは、[メール受信設定] で [親コール継承情報] をオンにしている場合に適用される。
  • 自動アサイン
    FastHelp5 の "自動アサイン" の仕組みに従ってアサインされる。メール受信したコールの担当者は一旦 "未アサイン" として FastHelp5 へ登録され、その後、自動的に適切な担当者にアサインされる。
    これは、[メール受信設定] で [自動アサイン]をオンにしている場合に適用される。

上記のいずれにも該当しない場合、メール受信したコールの担当者は "未アサイン" 状態のままとなります。"未アサイン" のコールの担当者決定は、業務グループのスーパーバイザ または各担当者が、手動で行います。

コールの業務グループは、[メール受信設定] で選択した業務グループが設定されますが、[受信振分設定] または [親コール継承] により、別の業務グループに振り分けられる場合もあります。

ポイント

顧客の特定

受信したメールの "差出人アドレス" が、顧客マスタに登録済みの "顧客のメールアドレス" と一致する場合は、その顧客からの問い合わせとみなして、コールの顧客を特定します。
"差出人アドレス" が顧客マスタに登録されているメールアドレスと一致しない場合は、コールの顧客を "(未設定)(匿名)" とします。または、[メール受信設定] で [未登録顧客] の登録をオンにしている場合は、"差出人アドレス" で新規の顧客を自動登録し、その顧客のコールとして特定することもできます。

コール内容の自動設定

[受信振分設定] の設定により、 [カテゴリ] [製品] などの項目の自動設定を行います。コールの自動クローズや、テンプレートを差し込んだ返信メールの自動生成を設定することもできます。

また、受信メールのタイトルに親となるコールの番号が含まれる場合は、そのコールの "関連コール" として、自動で関連付けを行います。
[メール受信設定] の [親コール継承] をオンにすることにより、 [カテゴリ] [製品] などの項目を親コールから引き継ぎ、自動設定を行います。

ポイント
  • "関連コール" とは、1 つのお問い合わせ内容に関連して受信した複数の問い合わせを関連付けたものです。
    メールオプション - 運用ガイド
    関連コールの詳細については、以下を参照してください。
    はじめに - 関連コールとは
  • 親コールが存在する場合でも、[受信振分設定] を優先させたい場合は、[メール受信設定] の [関連コールの受信振分を行う] をオンにします。
    メールオプション - メニュー別機能
    [メール受信設定] の設定手順については、以下を参照してください。
    メール受信設定 - [メール受信設定] を登録・編集する

受付メールの自動送信

[自動返信設定] により、メール受信のタイミングで、送信元に受付メールを送信することができます。
この受付メールの内容は、"返信メール" としてデータベースに登録され、該当コールから参照できます。

メール再アサインを設定する

メールを受信して特定の担当者にアサインした後、一定期間が過ぎても対応を行っていない場合に、システムが他の担当者に自動で "再アサイン" することができます。
メール再アサインは、[メール受信設定] で [自動再アサイン時間] を設定した場合に、行われます。

ポイント

メール送信設定の概要

業務でメールを送信する場合は、業務グループごとに [メール送信設定] を設定します。担当者がメールを作成し、送信できるようになります。
[業務管理] [業務グループ] の [メール送信設定] タブより設定します。利用するSMTPサーバ名や、送信メールの宛先や本文などの初期値を設定します。

[メール送信設定] は、業務グループごと および 送信の種類ごとに、複数の設定を用意でき、担当者が業務により、利用する設定を選択することができます。
担当者が送信したメールは、設定した SMTPサーバへ送信し、SMTPサーバが宛先へメールとして送信します。

ポイント

関連コールとは

FastHelp5 は、継続したメールのやり取りのために、メールタイトルに [親コール番号] が含まれる場合に、そのコールを "関連コール" とみなして、自動で関連付けを行います。
関連付けられたコールは、[ケースメイン] 画面の [ケースツリー] から時系列で参照できるので、過去の対応を意識した応対が行えます。
また、親コールから [業務グループ] [担当者] [コールカテゴリ] などを自動で引き継ぐので、前回担当者のアサインやコール情報登録の手間を軽減します。
メールオプション - 各種仕様詳細
関連コールの自動紐付けの仕組みについては、以下を参照してください。
メール仕様 - 関連コールの仕組み

内部受信メールの受信

担当者が、外部担当者へメール転送によるエスカレーションを行い、 外部担当者がそれに対してメールで返信した場合、FastHelp5 はメールタイトルの [送信番号] から、そのメールを "内部受信メール" と判断して登録します。
内部受信メールとして登録するため、コールとしては登録されず、問い合わせ件数の集計などに影響することもありません。

メールオプション - 各種仕様詳細
内部受信の判断の仕組みについては、以下を参照してください。
メール仕様 - 内部受信の仕組み
重要
内部受信メールは、コールではなくメールとして受信するため、コール一覧に表示されません。
内部受信メールを受信する運用では、必ず、内部受信通知の設定を行う必要があります。
メールオプション - 運用ガイド
内部受信の通知設定については、以下を参照してください。
通知機能を設定する - 内部受信の通知を設定する

NGワード

NGワードとは、コンタクトセンタから送信するメール内での使用を禁止したい、または制限したい文字列を管理者が事前に登録しておく機能です。担当者が該当の文字列が含まれるメールを送信しようとする時に、警告ダイアログを表示したり、メール送信を許可しないという設定ができます。

NGワードは、[業務管理] - [NGワード] で設定します。NGワード は、業務グループごとに設定できます。

メールオプション - 運用ガイド
NGワードの設定手順については、以下を参照してください。
メール関連設定 - NGワードを設定する

定型メール解析

Web サイトのフォームなどを経由して問い合わせを受信する場合などで、フォームの [顧客名] [電話番号] などの項目が FastHelp5 が定義する "定型メール書式" で記述されているメールを受信すると、FastHelp5 はそのメールを定型メールとみなし、メール内の各項目の値を、コールと顧客の各項目に設定して登録します。
定型メール解析は、[メール受信設定] で [定型メール解析] をオンに設定した場合に行われます。

ポイント
  • FastHelp5 は、[定型メール解析] を利用する設定で、かつメール内容が定型メールの書式に合致する場合に、そのメールを "定型メール" とみなし、定型メール解析を行います。
    "定型メール" は通常の受信メールと同様に処理しますが、顧客の特定と更新はメールの解析内容から行います。また、メールの解析内容からコール情報を取り出し、コールの項目に設定します。
    メールオプション - 各種仕様詳細
    定型メールの書式については、以下を参照してください。
    メール仕様 - 定型メールの書式